一刀両断 実践者の視点から【第9回】
NEWS「権力」におびえることはない
これまで国会議員、都議会議員、県議会議員、市議会議員とお会いし、その振る舞いを見たり、意見交換をしたりしてきたが、それぞれに国民市民と独特のズレがあるように思えてならない。このズレが施策にも反映して国民市民の不利益を生んでいるように私には思える。なぜこうした非生産的なズレが起きるのだろうか。
法の未成熟と、行政の格差から来ているのではないだろうか。行政からすれば、議員は、素人に近いと思われる場面が多くある。私自身、漢字が読めないことがないよう、議員向け資料にフリガナを振ったことがある。質問時間が余るので、質問を考えて欲しいと頼まれたこともある。議員のパフォーマンスに合わせていい格好をつけてあげると喜ぶのである。
国の理解と県の理解がズレていてトラブルになる事は少なくない。そして予算を握っている方に合わせなければならないのが世の常である。
行政の闇は深い。政治の闇はもっと深い。法の抜け道も多く、理不尽な結果に腹が立っても、現状では泣き寝入りとなる。人のなすことの限界を痛切に感じてしまう。しかし、「誠実」という太陽を当てると、隠れていた虫が逃げ回るのがよくわかる。それを時折このコラムに書いている。
政治家や行政マンに怯むような教師であってはならない。彼らは雇い主ではないし同じ公務員である。雇い主は納税者であり、児童生徒の能力を引き出すことが教師の遣り甲斐である。権力の魔に魅せられた亡霊に怯える必要は一切ない。目の前の児童生徒にこそ真摯に向き合えばいいのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)