教育における評価の再考 人間教育における評価とは何か
16面記事シリーズ・人間教育の探究(3)
浅田 匡・古川 治 編著
人を育て、人が育つ評価を論究
人間教育の探究シリーズ第3巻の本書は、「ひとがひとを育てる評価」をテーマに、評価の意義について、教師の側、管理運営の側、学習者の側という三つの観点から、13氏の教育評価の研究者が論究を展開している。
人が教え学ぶプロセスには、必ず評価という活動が含まれている。それは、人が育てられ、人が育つには評価が不可欠な活動だからだ。本書は、人間教育において評価が重要な役割を果たすという視座から、学校教育をはじめ、さまざまな教育活動における評価を扱う。中でも、人が学ぶという心理的な機能「わかる」「できる」「考える」「判断する」「表現する」といったことを、どのように評価するか、ということを特に問題としている。
2部構成で、第I部「学ぶこと教えることの評価の基礎・基本」では、教育評価とは何か、評価基準としての教育目標、授業の評価、カリキュラム評価、学校評価、教育における評価の意義などを考察。第II部「評価することとひととしての成長」では、学習意欲を育てる評価、自己を育てる評価、キャリア教育と評価、「わかること」と評価、「できること」と評価などについて論述している。
現代評価理論の基礎となるベンジャミン・ブルームの評価理論・学習理論を継承発展させた梶田叡一氏と、同氏の教えを受けた人たちにより編まれた本書は、教育評価の存在理由は何かを改めて問い掛けてくる。
(3300円 ミネルヴァ書房)
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