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一刀両断 実践者の視点から【第6回】

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論説・コラム

危険予知の力を身に付けさせるには

 「習熟度合わぬ練習で下半身不随/チア元部員、高校を賠償提訴」(毎日新聞)といった見出しの記事が掲載された。
 危険を予知して未然に防ぐ教育がされていれば、起き得なかった事故である。危険予知の教育は小学校から行われているはずであるが、位置付けは極めて曖昧である。扱いが軽く「気を付けてね」のレベルなのである。いじめの予防としての教育に似ている。
 読み書き計算などに重点が置かれているのだから、危険を予知することや、いじめの予防することなどは担任に任されることになる。私は以前から主張しているが、低学年段階でそれぞれ10時間以上を連続して徹底的に学ばせるべきと思っている。そうすればいじめも無謀な事故もかなりの程度、予防が出来るはずである。旧態依然の教育課程は課題解決に繋がらないし、現状は変えられないと言いたいのだ。
 教育課程の根幹について議論する中教審などの先生方の視点はどこにあるのかと私は厳しく詰問をしたい。こどもの学びを構成するのならよいかもしれないが、こどもの環境からを第一義にして考えるならば、現在のような教育課程に収まるはずはないのである。
 教育内容を検討する委員は名誉職でなく、責任職であり共に学校現場で汗して実践をする人格者であって欲しいものである。そうした源を改めない限り、今回のような不幸な事故は今後も続く事になる。せめてもの形で、お金で納める事はあるだろうが、体は元に戻らない。関係者はその重荷を一生背負う事になる。仕方なかったとして割り切ることは出来ないだろうから、心から安らぐ日は来ないのではないだろうか。
 何事も事の本質を見極めて正さなければ結果論になる。その意味で今の教育課程でよいのかと、私は問いたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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