「eスポーツ」を教育に生かそう 関係団体・教員がシンポ
3面記事 コンピュータゲームでの対戦を競技的に取り組む「eスポーツ」。教育での活用を目指すシンポジウムが3月20日に開かれた。北米教育eスポーツ連盟(NASEF)の日本本部によるもので、通信制高校や高等専門学校の教員、全国高等学校eスポーツ連盟の理事などが登壇。eスポーツの教育的効果について話し合った。
実際にeスポーツを教育現場に取り入れているクラーク記念国際高校の笹原圭一郎教諭と、阿南工業高等専門学校の小松実教授が、事例を紹介した。
これらの学校が扱っているゲームはチーム戦だ。試合中の会話はもちろん、試合前の作戦会議や試合後の反省会も行っている。チーム内には役割があり、得意・不得意を踏まえて担当を決めている。
笹原教諭は、「コミュニケーション能力や協調性が向上する」と説明。その事例に、昨年度の卒業生を挙げた。「彼は当初、自分に自信が持てず、コミュニケーション能力も低かった。ゲームを通じて自信が持てるようになり、他の部員たちを引っ張るまでに成長。普段の授業でも発言の回数が増えるなど、積極性が増した」と話した。
小松教授は「学校でゲームというと、やはり反対意見は多い。しかし、ゲームの上達は目標になく、教育ツールとして活用している」と説明した。
これらの発表を聞いて、NASEF日本本部の松原昭博代表は、「われわれが目指すのは、eスポーツの普及ではない。次世代の人材育成の手段としてeスポーツを活用する。多くの子どもたちはeスポーツに興味・関心を持っている。そのようなコンテンツを教育に活用しない手はない」と話した。
また松原代表は「eスポーツの大会を開くには、企画・運営や広報、映像配信、実況・解説といった多くの人員が必要になる。これらの業務も子どもたちが担うことで、社会に出てから役立つスキルが育つ」と言う。
高校生の全国大会を主催している、全国高等学校eスポーツ連盟の大浦豊弘理事は、「子どもたちが熱中しているゲームを、『しょせんゲーム』と切り捨てるのはもったいない。それを子どもの成長にどう生かすかが大人の役割だ」と話した。