災害時のSNS情報見極める LINEみらい財団が教材開発、無償公開
2面記事 地震や台風など自然災害の発生時に加え、コロナ禍でインターネット上にさまざまな情報があふれる中、LINEみらい財団がSNSで飛び交う情報の信頼性を学ぶための教材を開発した。今月からウェブサイトで無償公開している。新年度には全国の小・中学校向けに、この教材を活用したオンラインでの出前授業も始める。
教材名は「情報防災訓練」。カード型の教材やワークシート、指導案などを、情報モラル教育に詳しい塩田真吾・静岡大学准教授と共同開発した。災害時の情報を見極めるための観点について「だいふく」という言葉で示している。
教材では、自分の住む街に大型の台風が近づき、自宅に待機しながらスマートフォンで情報を集めている設定だ。SNSの画面を8枚のカードに再現した。
教材の公開に併せて9日には、小学校から高校まで一貫教育をする浦和ルーテル学院(さいたま市)で、オンライン出前授業が行われた。8年生(中学2年生)を対象に、塩田准教授が講師を務めた。
生徒たちはカードに書かれた情報を読んで拡散してもよいか決めたり、8枚のカードを信頼性が「高い」「やや低い」「低い」に分類したりした。
情報のどこに注目して判断するか、各グループの話し合いでは「公式マークがあるから信頼できる」「友達がシェアしているけど怪しい」などの意見が挙がった。
話し合いの後、塩田准教授は、
・「だれ」が言っているのか
・「いつ」言ったのか
・「複数」の情報を確かめたか
―の1文字目を取った「だいふく」で情報を見極めるよう解説した。
近年、災害の発生時にはSNS上で誤った情報が広まるトラブルが相次いでいる。平成28年4月の熊本地震では「動物園からライオンが放たれた」というデマの投稿が拡散された。コロナ禍では「石けんやトイレットペーパーが供給不足になる」との憶測が広まり、日用品を買い占める騒動が起きた。
塩田准教授は「学校や地域での従来の防災訓練に加えて、『情報』の防災訓練が必要だ。SNSが得意な若い世代が防災に貢献できる存在になれば」と話す。
教材のダウンロードやオンライン出前授業の申し込みは、LINEみらい財団ウェブサイト(https://line-mirai.org/ja/events/detail/24)へ。