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成人式とは何か

18面記事

書評

岩波ブックレット No.1035
田中 治彦 著
「18歳成年」を機に問い直す

 今年は、全国各地で成人式の延期や中止が相次いだ。戦後70年の長きにわたって毎年行われてきた成人式。荒れた時代もあった。しかし、成人式をやめようという積極的な世論もなかった。やはり成人式は人々にとって特別なものなのであろう。
 その成人式を、18歳で行うか、20歳のままで行うか、各自治体で検討が始まっている。民法改正により、令和4年度から成人年齢が18歳に引き下げられるからだ。
 18歳成人時代への移行は、私たち大人が、次世代をどのように社会の一員として迎えようとしているのかを問い直す機会でもある。学校教育との連携が極めて重要だと思う。
 本書は、6章からなり、成人式の歴史と課題、今後の展望を明らかにすることを目的としている。今後の成人式を検討する上でも、手引となる一冊である。
 「成人とは何か?」「成人式は必要なのか」「いつ成人式を行うか」等について、新聞記事、論文、調査や会議等の資料に基づき、多角的に分析・研究がなされている。実に興味深く、読み応えがある。
 成人式に関する類書は少ない。本書には、成人式前史から、戦後の成人式の歩みと模索、未来の成人式まで全てが網羅されている。
 「二分の一成人式」「バンジージャンプ」等、各章ごとのコラムも話題豊富である。
(682円 岩波書店)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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