UDフォント活用例を紹介 読み書き苦手な子への気付きも
3面記事モリサワ
デジタルフォントの開発などを行っているモリサワ(大阪市)は2月24~26の3日間、幕張メッセ(千葉市)で行われた地方創生EXPOに参加し、SDGsをテーマにしたオンラインライブを開催した。UDフォントを取り入れている大学や自治体の関係者などが登壇。早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員である佐久間智之さんがMCを務めた。UDフォントの活用により、ユニバーサルデザインへの意識の向上などが報告された。
オンラインライブ1日目のテーマは、UDフォントと教育。小・中学校や大学などにUDフォントを導入した事例を紹介した。
登壇者の一人である奈良県生駒市役所の広報公聴課の村田充弘さんは、「自治体のUDフォント活用、教育現場での事例と住民への配慮について」を主題に発表。市では10年前から広報誌でUDフォントを活用しており、令和元年度に市内小・中学校へ導入した。学校現場では子どもがフォントの読みやすさに敏感になった様子が見られ、意識の高まりを感じたという。佐久間さんからは、UDフォントで問題文などが多くの人にとって読みやすくなることから、SDGsの項目の一つである「質の高い教育をみんなに」につながるのではないかと指摘があった。
令和元年度には、市の広報誌で読み書きのバリアフリーを特集。取材中に識字障害のある子どもの保護者から感謝の言葉をもらい、掲載後には30、40代の読者から多くの反響が寄せられた。
村田さんは「今まで気付けなかった子どもの苦しみを知ることができた。今後も行政の立場から日常への困りごとに光を当て、具体的な対応を提案していく必要がある」と語った。
市では、読み書きなどに不安を持っている子どもを対象にした「ことばの教室」を実施。この教室では、UDフォントと他のフォントそれぞれの問題用紙を作り、子ども一人一人が分かりやすい方を使えるよう工夫している。「子どもに押し付けず、選べるような環境づくりを目指したい」という。