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教師は学校をあきらめない! 現場発信 子どもたちを幸せにする教育哲学

16面記事

書評

熊谷 雅之 著
30代公立中教員の熱い思いと奮闘

 「教師は学校をあきらめない!」―衝撃的なタイトルに「誰にあきらめられているというのだろう」と心が揺れる。
 著者は、30代の現職の公立中学校教師。幻冬舎ルネッサンスの出版コンクールで大賞を受賞し、電子書籍およびPOD(オンデマンド印刷)出版で出すことになったのが本書である。「現場の教師が感じていることを書かずにはいられない」という熱意と衝動で書き続けたものだという。
 昨今の教員採用試験の倍率の低下に危機感を感じ、教師の魅力をPRしようという動きもある。著者は「社会全体が日本の教育を他人事だと思い、教育問題の犯人探しをして誰かに責任を押し付けているのではないか、日本は教育をあきらめているのか」と訴える。その解決方法は、現場の教師一人一人が揺るぎない「教育哲学」を身に付けることとし、随所に読者に問い掛け、読者が書き込めるページを設けている。それが仲間と話し合うきっかけになればとも願っている。
 本書は四章構成。第一章「執筆の動機と教育哲学が必要だと思った理由」に始まり、第四章「実際の教育活動の中で輝く『教育哲学』」には、12の具体的な場面における著者の考えと奮闘がつづられている。コロナ禍で学校の価値に目が向けられた今、著者と共に自身の「教育哲学」について考えたい。
(<電子書籍>990円 <紙(Amazon、POD)>1650円 発行・幻冬舎メディアコンサルティング、発売・幻冬舎)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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