文科省検討会議、学習者用デジタル教科書巡り5案 紙と併用・全て置き換えなど
1面記事 学習者用デジタル教科書の効果的な活用方法などを議論している文科省の検討会議は2月22日、中間まとめ案を大筋で了承した。令和6年度の本格導入に向け、紙の教科書との関係について「全てデジタル教科書に置き換える」「紙の教科書とデジタル教科書を併用する」をはじめ5案を示した。ただし、検定制度や無償給与も含め、新年度に全国の小・中学校で行う実証研究の成果などを踏まえて「十分な検討を行う必要がある」との記述にとどめた。
中間まとめ案では、GIGAスクール構想で児童・生徒に1人1台の情報端末の整備が進む中、小学校用教科書の次の改訂時期となる令和6年度を「デジタル教科書を本格的に導入する最初の契機」とした。
デジタル教科書の利点には、直接書き込む内容の消去や修正が簡単に行えることや拡大して表示できること、機械音声での読み上げ機能により読み書きが困難な児童・生徒の学習を容易にすることなどを挙げた。
一方、紙の教科書は長年にわたり学校教育の基盤を支えており、一覧性に優れている他、書籍に慣れ親しませる役割を果たしていると指摘した。
その上で、デジタルと紙の各教科書の組み合わせとして、
・紙を全てデジタルに置き換える
・全てまたは一部の教科でデジタルと紙を併用
・一部の学年や教科でデジタルを導入
・設置者ごとに当該年度で選択
・全ての教科でデジタルを主に使用し、必要に応じて紙を使用
―の5案を例示した。
教員の指導力の向上を図る必要性にも触れた。国では教員用にオンラインでの研修プログラムを作成し、大学の教職課程では学生がデジタル教科書を活用したり体験したりする機会を確保するよう求めている。
正式な中間まとめは今月中に公表し、意見公募(パブリックコメント)を行う。