戦争の痛みを知る「学びの地沖縄」ならではの体験を
11面記事沖縄県営平和祈念公園の「平和の火」
感染対策を施した安全安心な沖縄修学旅行へ
沖縄旅行の魅力
綺麗な青い海と豊富な自然のもと、琉球王国時代から続く独自の食文化や歴史を引き継ぐ沖縄は、年間平均気温23・1度と1年を通して温暖な気候から国内屈指のリゾート地となっている。さらに、近年では戦争の痛みや平和への願いについて、身をもって知り体験できる『学びの地沖縄』として、修学旅行のメッカともなっている。
また、沖縄本島をはじめ、宮古島、石垣島など大小約160の島々で構成されていて見どころが多いほか、地理的には日本で4番目に小さな県となっており、そのコンパクトさを活かして効率よく各施設へ訪問できることも沖縄旅行の魅力の1つだ。
沖縄修学旅行の現状と学習内容
沖縄修学旅行は、年間約2400校、人数にしておよそ41万人の実施があり、毎年沖縄を除く46都道府県の学生が来訪している。令和2年度においては新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたが、適切な感染対策をとりながら沖縄修学旅行を実施した学校も数多くあった。
沖縄修学旅行においては独自の風土と歴史の中で育まれた文化を学ぶほか、豊富な自然を活かした多くの体験学習が行われている。また、太平洋戦争で激烈な地上戦が展開され、数多くの尊い命が失われた沖縄には当時の惨状を今に伝える多くの戦跡が残されているのも特徴。これらの場所を修学旅行生が訪れることは、座学では決して学ぶことができない、平和を希求する沖縄の『こころ』を感じ、平和の尊さについて触れ、考える貴重な機会になっている。
できることを確実に~各施設の感染症予防への取り組み~
沖縄修学旅行に係る各施設では、新型コロナウイルス感染症対策として、【できる事を確実に】実施することに取り組んでいる。
(1) 交通機関
沖縄修学旅行には航空機やバスなど交通機関の利用が欠かせないが、航空機は国際航空運送協会(IATA)でも安全性が発表された、上空の新鮮な空気を入れ替え機内の空気を滞留させない高性能フィルターを備えて換気対策を図っている。また、沖縄県バス協会では、貸し切りバスにおける新型コロナウイルス対応ガイドラインを策定するなど、修学旅行生が少しでも安心して旅行を楽しめるよう鋭意努力しているところだ。
加えて、1年を通じて温暖な気候の沖縄ではバス、タクシーなどの窓を空けた換気が実施しやすい環境にあり、今年度の修学旅行受入時には、乗車前・乗車時などに定期的かつこまめな換気を行った。
(2) 宿泊
各ホテルにおいては感染対策を実施するのはもちろん、現在は発熱や体調不良が生じた場合は新型コロナウイルス感染を疑わざるをえない状況のため、通常準備している保健室(緊急時の対応部屋)を増室し、修学旅行生の受入対応を行っている施設が多い。また、ホテル内バンケットでの食事においても、手袋を着用してのビュッフェ形式やセットメニュー形式など、宿泊だけでなく飲食に係るさまざまな対応も求められる中で、可能な限り学校の要望に沿った内容で対応している。
ビュッフェ形式の食事も感染対策を
(3) 体験
沖縄修学旅行では、資料館見学や屋内外での体験など多種多彩なプログラムを用意している。自然や温暖気候を活かした密にならずにできる屋外での体験のほか、屋内での体験や見学においてもソーシャルディスタンスを保った対応を行っている。今年度においては、一部の見学施設で時間や入館、内容の制限がかかる対応を強いられているところもあるが、その中でも沖縄の魅力を全力で体感してもらえるよう、引き続き体制を強化していく意向だ。
ソーシャルディスタンスを保った平和学習
(4) その他の感染症対策
沖縄県では厚生労働省が提供する新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA/ココア)の推奨をはじめ、感染拡大防止と社会活動の両立をサポートするため、LINEを活用した沖縄県新型コロナ対策パーソナルサポートの新たな機能RICCA(リッカ)の導入をしている。
また、感染防止対策の「見える化」を目的に沖縄県感染防止対策徹底宣言ステッカー(シーサーステッカー)を導入して県内各店舗前に掲示することで、修学旅行生のほか県内外の来訪者が安心して施設(店舗)を利用できるよう取り組んでいる。このココア、リッカ、シーサーステッカーをつなぎ合わせることで、抜け目のない感染防止対策を実現している。
LINEを活用した「リッカ」と感染対策をクリアした事業者の証「シーサーステッカー」
来年度の修学旅行に向けて
今年度、全国の学校では修学旅行を中止、または近隣(域内)での実施を余儀なくされた。それだけに来年度の実施に向けては、保護者が納得して子どもを旅行に送り出せるための準備・対応に追われていると推察する。
こうした中、沖縄県では全国の修学旅行に関わる方々が少しでも「安心」して沖縄修学旅行を実施できるよう、さらなる感染症対策の強化に努めるとともに、楽しみながらもしっかりと学べる『学びの地沖縄』の体制を整え、他にはない沖縄ならではの魅力を届けていく意向だ。