児童・生徒の自殺1・4倍に 男女差縮まる
1面記事高校女子は2倍以上
昨年1年間に、自殺・自死した児童・生徒は1年前と比べて1・4倍に増えたことが分かった。文科省が15日に明らかにした。女子よりも男子に多い傾向は変わらなかったが、男女比は前年の1対0・46から1対0・78へと縮まっている。特に高校生は女子が前年の2倍以上となり、増え方が際立った。
厚労省が暫定値として集計した結果を基に、文科省が同日開いた自殺予防に関する調査研究協力者会議で報告した。令和2年に自殺・自死した児童・生徒の人数は479人。前年は339人だった。この集計結果によると、過去4年間にわたって増加傾向が続いているが、これまで多い年でも1・1倍増以内に収まっていた。
男女別では男子が1・16倍の269人、女子が1・96倍の210人。高校生に限ると、女子は2・06倍(138人)となった。
月別の集計からは、コロナ禍との関係が見える結果となった。対前年比で6月は2・1倍の45人、8月は2・2倍の64人。文科省は6月について、臨時の学校休業を終えたこと、8月について、夏休みを短縮したことと、例年は夏休み明けの9月に自殺・自死が多いことを指摘している。
学校種別では小学生が対前年比2・3倍の14人、中学生が同1・4倍の136人、高校生が同1・4倍の329人だった。
原因・動機としては、「学業不振」が依然として多かったが、「病気の悩み・影響」が増えていた。
このような報告を受けて調査研究協力者会議では、小・中学校で本年度内に整備する予定の「GIGAスクール構想」の活用を挙げる意見が出た。児童・生徒それぞれが1台ずつ情報端末を使えるようになることから、端末を使った個人面談や個別学習支援に生かせせるのではないかとの声が上がっている。
今回の会合は昨年度に続き、「SOSの出し方に関する教育と自殺予防教育の関係性」などについて審議した。自殺予防教育では、自殺・自死の実態を知るなどの内容を想定している一方、「SOSの出し方に関する教育」では、「自殺」「死」といった言葉を使わないとし、自殺予防教育の一部と位置付けた。