「学びに向かう力」を発揮し、協働的に学ぶエデュスクラム
中田　正弘　編著
プロジェクト学習の手法と事例紹介

　「本書に教育に対する変化の契機を願っている。我々のゴールは生徒たちが生涯にわたる学習を楽しみ、幸せな人間になってくれること」―これは、エデュスクラム開発者ウィリー氏の言葉である。編著者の中田氏がオランダで出合ったこの学習ツールは、課題解決的な学習と親和性が高く、学びの質を保ちながら、ポジティブにリフレクティブに、そして協働的に学習に取り組む際に効果を発揮するという。
　本書は８人の執筆者と開発者ウィリー氏の言葉で編集されている。第１章では、新しい学習指導要領が目指す授業イメージを、第２章では、子どもたちが「学び合う」協同学習の基本的な考え方を述べている。
　エデュスクラムとは何か、第３章の中で新たなプロジェクト学習の方法として、その具体的な考え方や取り組みが紹介されている。模造紙と付箋を使ったシンプルな方法でありながらも協働的な課題解決を手助けする実践例が分かりやすい。
　第４章「ポジティブで、リフレクティブな学習者を育てる」。個人内評価を大切にすることがポジティブ・リフレクティブな学習者の育成につながるとし、学習の見通しや振り返りはどうあるべきか、これまでのありがちな振り返りとどこが違うのか、明日の授業に活用できるものがそこにある。
（１９８０円　学事出版）
（伊藤　敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員）