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「新しい学校生活」のための感染症対策ハンドブック

15面記事

書評

鎌塚 優子・大沼 久美子 編著
疑問に答え、現場での工夫も紹介

 本書冒頭、登校から下校までの諸場面から学校行事、学校外行事などを捉えた「学校の1日と感染症対策」を「小学校編」「中学校編」、管理職や学年主任・学級担任などの「役割別」に分け、概観できるよう示す。
 「1日」を見渡した後、養護教諭、教諭、医師、弁護士が感染症対策の基本、学校での対応、子どもへの健康教育と相談体制、家庭や地域、外部との連携など全4章の各論部分を解説。さまざまな疑問に答えるだけでなく、感染症を子どもたちに意識化させる校内の工夫も掲載し、実際的な側面も併せ持つ。
 全国の学校への休業要請から間もなく1年を迎えようとする今も、新型コロナウイルスの感染拡大への不安と懸念が払しょくできない。終息したとしても、新たな感染症などへの備えも指摘され、「朝の健康観察」など従来当たり前にしてきた学校の日常の重要性が、危機を経験し、さらに増している。
 同時に、本書で指摘されているような、養護教諭、体育教諭以外には教職課程で「学校保健」が必修になっていないことなど、顕在化する改善点への対応も必要になっているのではないか。
 元には戻らないかもしれない世界での「新しい学校生活」を構築する現場の配慮と苦労は、並大抵のものではない。変わる学校生活を理解し、共に支えてもらうため、保護者にも、ぜひ本書を薦めたい。
(1650円 学事出版)
(矢)

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