電子黒板用PC、教室常設型という選択(前編)
8面記事プロジェクター付きの電子黒板
学校のICT化が推進される中、電子黒板を導入する学校が増えている。電子黒板事業を「先生方がストレスなく授業できるように展開してきた」というエプソン販売株式会社の渡辺敬氏(PCMD部)、稲冨裕也氏(ビジネス営業企画部文教ソリューション担当)に、熊本県人吉市の導入事例の話を交えながら、エプソンの電子黒板用ウルトラコンパクトPCの特長、今後の展開について聞いた。
電子黒板と教室常設ウルトラコンパクトPCの連携で、子どもの集中力を途切れさせない
―エプソンの電子黒板の特長はどういったところでしょうか。
稲冨 プロジェクター型のインタラクティブ機能内蔵型電子黒板となります。プロジェクター型は黒板上部に設置が可能で、黒板上に大きく投映することができます。黒板と併用することで、「教材を大きく提示し、電子ペンで書き込んで説明し、児童に解答を書かせる」という、黒板を使った基本的な授業スタイルを踏襲できるのが最大の特長です。また、標準搭載ソフト「Epson iProjection」による4画面投映で、児童の解答を比較投映し学びを深める授業ができます。問題の配信やサムネイルでの進捗状況の確認もできるので、GIGAスクール構想で1人1台端末が行き渡れば、より効果的で深い学びに役立つはずです。
―常設型PCと連携するスタイルに至った経緯を教えてください。
渡辺 電子黒板事業をスタートしてから10年。先生方が「時間のロスなく、誰でもラクに扱える」ことを大事にしてきました。それが授業の質、ひいては教育の質に還元されると考えているからです。ストレスフリーでそれまでの授業を続けていただくには、教室という限られた空間に常設できる小型PCと電子黒板の組み合わせが最善でした。
持ち運びしやすいノートPCを使う方がいかにも便利そうですが、モニターは電子黒板があれば不要ですし、キーボードも必要な時だけ使えればいい。実際に先生方は「授業のたびにPCを持ち歩かなければならず、教室での置き場所に困る」という悩みを抱えていました。また「デジタル教科書のデータ量は大きく(小学校全学年分で300GB程度のサイズのものもある)自身のノートPCに格納できない」「教材の立ち上げに時間がかかり、授業が途切れてしまう」といったお悩みも。子どもの集中力は10秒でも間が空くと切れてしまうのだそうです。
操作は教卓のマウスで
―結果的にエプソンの「電子黒板用PCの教室常設」が現場のニーズに合った、ということですね。
渡辺 2017年に5つの学年に導入した熊本県人吉市立中原小学校の事例でも、デジタル教材の容量も大きくなり動画も増えてきて、既存のノートPCなどで扱うのが難しくなったことが弊社の電子黒板をご提案するきっかけになりました。デジタル教科書での学習に必要なハードディスクやメモリ増設に耐えられること、PCの立ち上がりが早く授業が途切れないことが導入の決め手となりました。
―中原小学校の先生方の感想はいかがでしたか。
渡辺「プロジェクターの電源をオンすれば即授業が始められるのが良い」といった声が。「大容量SSDを搭載したデスクトップPCなので、ソフトの立ち上げや動画のレスポンスもよく、テンポよく授業ができて児童の集中力を持続させることができる」という感想もうれしいですね。
―PC本体とキーボードは、ボードの裏側にある台に収納し、教卓でマウスを操作するのですね。
渡辺 マウスと電子黒板だけでデジタル教材を扱えるので、「子どもから目線を外さずに授業を行えるのがいい」という感想も。それまでのスタイルを大きく変えずに授業ができると喜んでいただけたのは何よりです。
稲冨 プロジェクター型の電子黒板は教室のスペースを有効活用できる「壁掛け設置」、運搬ができる「ボードタイプ」と学校の環境に応じてレイアウトができます。短期間のお貸出しやデモ実演でPC機能付き電子黒板の体験が可能なので、気軽にご相談いただきたいですね。
―これからの展開を教えてください。
渡辺 今後も、人吉市教育委員会様でさらに電子黒板を整備されると伺っています。プロジェクターとPCセットでの設置からメンテナンスまで、「ワンエプソン」でサポートいたします。
電子黒板と教室常設PCを活用した授業を行う人吉市内の小学校