日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

アドベンチャーと教育 特別活動とアクティブ道徳教育

14面記事

書評

工藤 亘 編著
川本 和孝・村井 伸二・山口 圭介 著
「挑戦」通じ人生を開拓する力育む

 教育哲学者のクルト・ハーンが提唱し、世界中で実践されている人間教育を目指した教育であるアドベンチャー教育。玉川大学などを運営する(学)玉川学園はアドベンチャー教育の哲学・手法を取り入れた体験学習プログラム、TAP(Tamagawa Adventure Program)の研究・実践に取り組んでいる。
 本書は、20年間TAPと教育に携わった経験を交え、アドベンチャー(成功するかどうか不確かなことにあえて挑戦すること)の必要性や教育との関係性などを紹介。TAPの背景や理論、教師に必要な「指導と支導」、ファシリテーターの役割、学級経営・特別活動におけるTAPの活用法、道徳教育とTAPについて書かれている。
 TAPは全ての人々の夢をかなえるためにある。そのためには、子どもたちを人生の開拓者として育てる必要がある、自己冒険力(人生を開拓していく力)を獲得・発揮できるようにすることが大切になる。教師の「支導」によって子どもが「アドベンチャー」のできる環境で体験学習し、そこでの気付きや学びを子ども自身で試行錯誤しながら日常生活に生かして夢や自己実現に向かう力である「自己冒険力」は、これからの時代に育成することが求められる資質・能力と重なる。
 新しい社会を創造し、発展させ、より良い人生や社会を自らつくり出し、新しい価値を生み出す子どもたちを育てる教育の実践に向けて読んでおきたい一冊だ。
(2640円 玉川大学出版部)
(秀)

書評

連載