高校「情報」の教員拡充や「教育格差」是正策求める 経団連が提言
4面記事 日本経済団体連合会は11月17日、初等中等教育改革に関する第2次提言を公表した。高校で必修化される「情報」を担当する教員の養成や採用、デジタル教科書活用のための教員研修、教育格差の拡大回避策などについてまとめている。中央教育審議会での検討項目を踏まえ、7月に発表した第1次提言に盛り込まれていない課題を示した。
提言では、Society5・0に向けて求められる初等中等教育の三つの視点として、
(1) 社会で活躍する人材に期待される能力の育成
(2) デジタル技術やデータを活用した「学びのデジタルトランスフォーメーション」
(3) 性別や人種、国籍、家庭環境などを問わず、さまざまな個性や能力を持った児童・生徒が協働する「ダイバーシティ&インクルージョン」
―を挙げている。
高校教育では、新学習指導要領で「情報I」が必修化されることを受け、情報教育の充実に触れた。
教科「情報」を真剣に学んだ高校生が正当に評価されるために、大学入学共通テストの科目に「情報I」を導入すべきとした。また、教育現場で「情報」が理系科目と捉えられているとの指摘から、各大学には共通テストを利用する入試で文理を問わず「情報I」を課すよう求めている。
併せて、「情報」を担当する教員の3割が免許状を保有していない現状を改め、教職課程での養成や採用枠の拡大、特別免許状の活用促進による社会人の採用拡大を提案した。
児童・生徒用のデジタル教科書の在り方が見直されていることに関しては、デジタル教科書を主な教材と位置付けて無償給与の対象とし、移行期間を経て完全に移行すべきとしている。
教員がデジタル教科書に慣れていないことが普及を阻害している一因として、養成段階や研修でデジタル教科書を活用した授業方法などを学ぶ機会を確保するとともに、優れた事例の収集や周知が重要と述べた。
子どもたちが「生まれ」によって学力や最終学歴に差がある状態を表す「教育格差」の是正も取り上げた。国にはオンライン学習の環境整備、地方自治体には教員OBら地域住民や大学生のボランティアによる学習支援の枠組みを構築するよう求めた。
また、文科省が令和3年度予算の概算要求で「事項要求」として盛り込んだ少人数学級や、ICTの活用による個別最適化した学びが実現すれば、「経済的に恵まれない児童・生徒が低学力から脱する可能性が高まることが期待される」と指摘した。