米国小児科学会　編集
五十嵐　隆　監修
国立成育医療研究センター総合診療部　翻訳
一歩先行く米国の在り方に学ぶ

　慢性疾患や障害のある子ども、在宅で毎日の医療的ケアが必要な子ども、人工呼吸器による管理が必要な子どもが増加している。一人一人の課題に対応し、治療・支援体制をつくり上げ、それを維持することは、これからの医療従事者、保育者・学校教員にとって大きな位置を占めることになる。
　本書は、日本より早くから医療・保育・教育の連携に取り組んできた米国小児科学会が作成した、慢性疾患や特別なケアが必要な子どもたちに対する支援の在り方を示したガイドブックの日本語版となっている。
　前半では、特別な医療的ケアを必要とする子どもを支援するシステム、保育者・学校教員を含む支援チームの在り方、ケアプランの作成とそれを実施するための方法、子どもが園や学校にいる間に発症する症状への対応などを説明。生活の中でのケアのポイントや緊急時の注意などを示している。後半はクイックリファレンスシートを掲載し、５０以上の病状についての情報を提供している。
　「個別の教育支援計画」の作成をはじめ、日本でも保育・教育と医療、福祉などの連携が進み始めているが、まだ課題も多い。障害や医療的ケアの有無にかかわらず、子どもたちの成長・発達には、教育や遊びが不可欠。一歩先を行く米国の安全で適切なケアの在り方を学ぶことは、各園や学校で行う支援や医療、福祉などとの連携をより充実させることにつながる可能性が高い。
（５２８０円　日本小児医事出版社）
（秀）