コロナ機に部活を変えよう 教育研究者の2氏が遠隔講座で訴え
3面記事 共に部活動に関する著書がある教育学者が9日、(公財)笹川スポーツ財団によるオンラインイベントで講義と対談を行った。コロナ禍により、部活動が休止になったり、大会が中止・縮小となったりしたことから、教員にも生徒にも負担が多い実態を、この機会に改める必要があるといった考えで一致した。
このイベントには、早稲田大学の中澤篤史准教授と、名古屋大学の内田良准教授が出演した。
中澤准教授は、まず、一斉の学校休業以降の部活動を巡る動きを紹介。部活動が再開してからは、部活動への期待がある一方で、授業の遅れに対する不安の声があったとした。今後の部活動を巡っては、「本当に部活動をしたいか」という観点から同意を得る必要があるなどと訴えた。
具体的には、アンケートなどで部活動参加意思を確認することや、退部・休部を望む部員に寛容に対応することを挙げた。
内田准教授は自分自身の遠隔授業の経験について大変だったと同時に楽しかったと振り返り、部活動と似ていることを指摘。本来は、生徒による自主的な活動であるが、誰かが歯止めをかける必要があるなどと訴えた。
併せて内田氏は、9割を超える中学校が教員に部活動の顧問を割り当てているといったスポーツ庁調査を紹介。生徒の部活動加入については、強制する学校が3割余りだったとした。
このような調査結果から、「部活動はみんな緩くした方がいいと思っている」「首を絞め合っている手を緩めなければならない」などと話した。
文科省が週末の活動について、学校主体ではなく、教員以外の指導者が中心となる構想を描いていることについて内田氏は「教員の働き方改革としては正解。子どもの負担は過大だ」との見解を示した。
中澤氏は「大会をどうするかが論点になる。本当に自主的になったら参加者は半減する」などと話した。
参加者との質疑で、「コロナによって部活は変わるか」との問いに対し、内田氏は「いろいろ緩くなった。一過性にしてはいけない」「戻ってはいけないと言い続けないといけない」と応じた。
中澤氏は「部活は変わらなかった。壮大な社会実験だった」「変えなければいけない。このままではいけない、ということを考えなければいけない」などと答えた。
このイベントは「スポーツアカデミー」の名で開いている公開講座。今回は本年度の2回目で、「新型コロナウイルスをきっかけに運動部活動は変わるのか?」を主題に2氏が話し合った。