オンライン学習・授業のデザインと実践
16面記事赤堀 侃司 著・監修
コロナ禍に実現した多様な学び
コロナ禍の学校現場で幾度となく聞いた「ピンチをチャンスに」。学校が学びの機会喪失という「ピンチ」に直面したとき、オンライン学習・授業に活路を見いだし、「休校」期間を「チャンス」に変えた試行錯誤の取り組みがなければ、生まれなかった一冊だ。
前半部分では、教育工学の先達である著者・監修者がオンライン学習・授業の意義、実態調査から見るメリット・デメリットを分析、オンライン学習・授業のデザインを提案する。対面授業とオンライン学習・授業の併用、特に、高校段階での可能性を説くなど、今後の展開も語り、示唆に富む。
後半部分に公私立の小学校から高校までの寄稿による実践事例を掲載。「休校」となった3月、次年度最高学年となる5年生からオンラインでの学習支援を始め、学年を広げていった千葉県印西市立原山小。大阪市立新巽中はオンデマンド型で授業動画配信や、オンラインでの協働的な学びにも挑戦し、最適な学びの追究に向け、オンライン・オフラインの「ベストミックス」という視点を手に入れた。
この他、栃木県大田原市立大田原小、東京都千代田区立九段中等教育学校、和歌山大や大阪教育大の附属のユニークな実践もある。災害やその他疾病によって学びが止まることもある。学校が新たなツールを手にしたとき、多様な学びを継続、実現できることを教えてくれる。
(1870円 ジャムハウス)
(矢)