「なぜ」で読み解く社会科授業のヒント 「なぜ」がわかると、授業が変わる
16面記事北 俊夫 著
指導要領の重点や変更点を明確に解説
小学校では本年度から新学習指導要領全面実施。今回の改訂の大きなポイントが、児童・生徒に育成することを目指す資質・能力を「三つの柱」として整理されたこと。各校ではコロナ禍にあっても、資質・能力を育もうと懸命に教育活動を進められている。今更と思われそうだが、では、資質・能力と学力とは何が違うのか、なぜ資質・能力と表現するのか。この問いに対し、的確に説明できるだろうか。
本書は、学習指導要領から42の「なぜ」を設定し、明確に解説。この「なぜ」を理解できないまま、教育活動が進められていないだろうか。授業や学校の教育活動には目的や目指す姿、そして教師の願いがある。決して、受け身的に実践するものではない。著者の熱い思いが書面からあふれ出ている。42の論を見開きで説明。1ページ目に「なぜ」に対する答えが理論的に解説され、2ページ目は「授業づくりのヒント」が具体的に説明されている。特に総論の11例は熟読したい。社会科中心ではあるが全教科に通じる。
初めから通読せずとも、必要に応じて摘読できるハンドブック的な手軽さがある。しかし、その中身は濃厚かつ重厚。
そして、続きの43例目からの「なぜ」は自ら見いだし解決していきたいものだ。主体的に情熱を持って学び続ける教師の姿への期待感を本書から熱く感じ取れた。教育に関わる全ての方に薦めたい。
(1320円 文溪堂)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)