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本社調査 「コロナ下の教育施策」(4)

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市町村教委

 日本教育新聞社は7月、新型コロナウイルス感染症に伴う全国状況を探ろうと、抽出した教育委員会の教育長を対象にアンケートを行った。授業の遅れに対する認識などについて回答を求め、8月10・17日付で詳報している。電子版では、回答のうち、各地の教育委員会の施策などについての自由記述を紹介する。

■埼玉・戸田市からの回答

Q 最近の教育界の動きについてご意見がありましたら自由にお書きください。

A 教育は未来志向のプロジェクトと言えるのではないかと思います。まだ見ぬ理想を掲げることが多いことから、想いや願いが先行するなど、どうしても抽象的になりがちです。それを具現化する手立てについても、具体性に欠ける可能性があります。
 これまでの教育界には、国から県へそして基礎自治体へ「よきものとして従うべき」との暗黙知があります。理念や政策等が、どのように学校現場で理解され、どう使われるのか。本当に子供たちにとってよい変化をもたらしているのか、これらの問いにこそ、教育改革における学校現場との距離感を示しているように思います。「現場に下ろす」的な演繹型思考で組み立てられた教育政策は、事例や言い換えが理解を促すとされます。
 しかし、抽象度を少し下げた程度では、わかったつもりにさせるだけで、学校や教育委員会は、真の教育意志や責任、またモチベーションには繋がらないのではないかと思います。大切なのは、これまでの教育実践の蓄積を帰納することで、政策を立てるという自信に裏づけられた帰納型発想だと思います。
 現在、中央教育審議会で取り上げられている諸課題は、すべて日本の教育の将来を展望する上で、極めて重要な課題ばかりであると認識しております。教育委員会や学校は、それらの議論に対して、ときにはクリティカルシンキングをもって注視し、自らの教育意志をもつ必要があります。
 あわせて、日々変化する社会の動きを積極的に学校内に入れるとともに、それらの様々な教育実践の成果や課題についても、可能な限り、客観的な根拠に基づいた(情報に照らした)教育実践ができるようにしていく必要があると思っています。そうした、学校現場の日々の地道な教育実践の蓄積を帰納して主体的に立てた政策を、県へそして国へと帰納型発想で積極的に提言していくことが大切であると考えています。

市町村教委

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