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未来の学校のつくりかた 僕が5つの教育現場を訪ねて考えたこと

14面記事

書評

税所 篤快 著
「希望を語る教師」との出会いを重視

 落ちこぼれを自称する著者のパワーがすさまじい。並の教師では収まらない高校生であったことが想像できる。魅力ある教師との出会いを求めて「自分の心が火照るのを感じ、脳みそがグツグツと沸き立ち、未知の世界へ冒険したくてウズウズさせる出会い」を探し求め「希望を語る教師との出会い」が人生を大きく左右していることを体験から語り、今の教育界や社会への警鐘を鳴らすべく発信した類いまれな内容になっている。
 こうした枠にはまらない生徒は昔も多くいたが無理やり押し込めていた時代があった。相互に窮屈であった。しかし、今も改善されてはいない。私も同様に違和感を持っていたので高校時代は大半が赤点であった。著者の「千人にひとりの落ちこぼれ」とまではいかないが、母は何度も呼び出された。
 第1章「みんなの学校」の衝撃、第2章「杉並の地域づくり・学校づくり」、第3章「N高の挑戦」、第4章「侍学園という希望」、第5章「大槌の教育復興」で書かれてあるが、今の学校に必要な取り組みや忘れ去られている根幹となる「人・もの・事」が浮き上がってくる。それは心を火照らせる「希望を語る教師」との出会いにある。巻末の対談で「先生になりたいというのは、実人生から降りたいのか?」と、友人から言われたジブリの鈴木敏夫氏との対談から読まれると目が覚める。
(1980円 教育開発研究所)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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