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子どものスマホ利用における注意点と学習への活用法

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特集 教員の知恵袋

 通信技術が発達し続ける昨今、小学生や中学生の子どもたちがインターネットを通じて、WebサイトやSNSを使うことが当たり前になってきました。今でこそインターネットは身近で画期的な通信技術ですが、事件や犯罪といったトラブルに巻き込まれる危険性も付きまといます。

 インターネット上の危険やトラブルから子どもたちを守るためには、子どもたち自身にスマートフォンの正しい使い方やインターネット上のマナーを身に付けさせることが不可欠です。

 一方で、文部科学省が推進する教育のICT化においてはスマートフォンやパソコンを効果的に活用した学習方法がますます重要となっていくことが予想されます。ここでは、子どもたちがスマートフォンを使う上で起こりうるトラブルとその対策、スマートフォンを含むICT機器を活用した教育という2点に注目して子どものスマートフォン利用について考えていきます。

子どものインターネット利用率と懸念すべき危険

 冒頭でも述べたように、今や子どものインターネット利用が当然とされる時代となりました。内閣府が平成30年度に行った「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、小学生の約86%、中学生の約95%、高校生の約99%がインターネットを利用しており、そのうち小学生の約46%、中学生の約71%、高校生の約98%がスマートフォンを介してインターネットを利用しているという結果が出ています。

 そこで課題となるのが子どもとインターネットとの関わり方です。同調査結果では、小学生から高校生までの青少年における1日あたりのインターネット利用時間は約169分と前年から9分増えています。スマートフォンやタブレット端末の長時間利用による生活の乱れ、さらにSNSを利用したトラブルや犯罪などは懸念すべき深刻な問題です。

子どもの安全で健全なインターネット利用を目指した文部科学省の対策

 近年、子どもたちが犯罪やトラブルに巻き込まれることなく、安全にインターネットを利用することができるよう情報モラルの教育が求められています。

 それに伴い、文部科学省は教師用指導資料の改善・充実、児童生徒向けの啓発資料の作成・配布を行っています。また、子どもを取り巻くインターネット環境の変化等を踏まえながら情報モラル教育を充実させるために、教員等を対象とした「情報モラル教育指導セミナー」も実施されています。

子どもの正しいスマートフォン利用を目的とした資料

 文部科学省が配布する情報モラル教育の啓発資料「ケータイ&スマホ、正しく利用できていますか?」は、小中学生版と高校生版に分けて作成されています。資料で強調されているのは、スマートフォンを使用する上でのマナーや注意点です。

 ながらスマホや公共交通機関内でのスマートフォン利用を控えるという一般的なルールから、友達にメッセージを送信する前に注意すべきこと、個人情報の取り扱いに関する注意、SNSやゲームを含むインターネット上での出会いに関する注意点や危険性などが理由とともに紹介されています。これらの資料を活用し、児童生徒の情報モラルに教育を効果的に行うことが重要です。

新型コロナウイルス感染症対策で注目を高めるICT教育の重要性

 新型コロナウイルス感染症対策による学校の臨時休業を機に、ICT教育への注目がさらに高まっています。

 臨時休業期間中も変わらず重要なのは、子どもたちの日々の学習です。文部科学省は、全国の小中学校ならびに特別支援学校等に一斉臨時休業の要請を通知した令和2年3月2日に、学習支援コンテンツポータルサイトを開設しています。

文部科学省が開設した学習支援コンテンツポータルサイトとは

 文部科学省が開設した「子供の学び応援サイト」は、臨時休業期間中に子どもたちの学習を支援するサイトです。

 サイト内には、小中学校・高等学校の児童生徒に向け、学習に役立つWebサイトや動画のリンク集、教科別の無料学習支援コンテンツが充実しています。特別支援教育を受ける児童生徒に対しても、家庭学習で取り組みやすい学習内容を選択できるよう参考資料がピックアップされているため、家庭学習におけるサポーターのような役割を果たしてくれるはずです。

 また、教職員や保護者が活用できるリンクも充実しています。たとえば、教職員向けに研修資料がまとめられたページでは、新学習指導要領に沿った授業づくりや生徒指導、外国語教育、食育などに活かせる資料や教材の閲覧やダウンロードが可能です。

スマートフォンアプリを活用した学習支援コンテンツ

 文部科学省が推奨する学習支援コンテンツの一つ、「おうちで学ぼう!NHK for School」は、パソコン版のほかにスマートフォン向けのアプリもあるため、家庭での学習にスマートフォンを活用できます。

 このアプリは、小学生から高校生までの児童が家庭での学習をより効果的に行うための番組や動画だけでなく、全国の教員が選ぶ動画のプレイリスト、時事ニュースなどバラエティに富んだコンテンツが充実しているのが特徴です。スマートフォン時代の子どもたちが、インターネットを活用して気軽に学べるような工夫が詰まっています。

子どもだけでなく大人もスマートフォンの使い方を見直すことが大事

 スマートフォンを含むICT機器使用には、インターネット上やSNSでのトラブル・犯罪の危険が付きまといます。それらの危険から子どもたちを遠ざけるためには、スマートフォンやインターネットの正しい利用方法やリスク、情報モラルに関する知識を身に付けるための教育が欠かせません。

 今後さらにICT機器を活用した教育の普及が予想される今こそ、子どもだけでなく、教職員や保護者を含めた全員がスマートフォンやインターネットの正しい使い方を身につけるタイミングといえるかもしれません。

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