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「GIGAスクール構想」が加速化~コロナ禍の学びを保障する、オンライン学習の確立を~

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休校時に露呈したICT環境の遅れをきっかけに

 新型コロナウイルス感染症による臨時休校措置でオンライン授業の必要性が高まったことを受け、全国の学校に1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する「GIGAスクール構想」の整備が加速化している。
 他の先進国に比べて、子どもたちが学習に使う端末や無線LAN環境整備の遅れが指摘されている中で、今回の休校措置における学校の取り組みでは、そうした現実が浮き彫りになった。文部科学省の調査によれば、臨時休校中に「同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習」を実施した公立学校(設置者)はわずか5%にとどまっており、今後同じような事態が起きた場合は、教育課程の実施に支障が生じる恐れがある。
 加えて、私立学校や都立学校の中には休業中に各教科でオンライン授業を進めていたところもあり、地域間や学校間での対応の格差も広がる結果になった。

2292億円を追加し、整備の前倒しへ

 こうしたことから、文部科学省では今回のような感染症の発生や災害等による学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用により全ての子どもたちの学びを保障できる環境を早急に実現するため、新たに2020年度補正予算で総額2292億円を計上。これまで2023年度までの達成を目指していた1人1台端末の早期実現や、家庭でも繋がる通信環境の整備など、「GIGAスクール構想」の実現に向けた整備を前倒しする計画を打ち出した。
 また、6月5日に公示された「新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の『学びの保障』総合対策パッケージ」においても、あらゆる手段を活用して学びを取り戻し、子どもたちの学びを保障するため、ICT活用によるオンライン学習の確立を挙げている。その中では、秋以降の第2波に備えて、優先すべき地域の学校でオンライン学習を可能にすることや、特に家庭でICT環境を整備できない子ども向けに、端末やモバイルルータ等を優先配置することを盛り込んでいる。
 具体的には、自治体への補正予算交付決定を待たず、さかのぼって整備着手を可能とする措置、文部科学省で全国の需要を把握したうえで供給メーカー等業界と連携、自治体への早急な調達促進といったことに加え、必要に応じて地方創生臨時交付金も活用しながら、この8月には、特定警戒都道府県として指定された等優先すべき地域でICTを活用したオンラインによる家庭学習が全ての児童生徒に可能な環境を実現することを目指す。

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