本当に必要なことを見極めて、学校経営を見直す
12面記事学びの保障に向けた再開後の取り組み<中学校編>
水谷 年孝 愛知県春日井市立高森台中学校校長
臨時休校により年度初めの大切な時期がなくなり、しかも、再開後もいろいろな活動が制限され、さらに、最近は例年以上の梅雨末期の豪雨が重なっています。このような大変困難な状況での学校経営は、多くの管理職がこれまで経験をしたことがないことと思います。誰もが同じでしょうが、これまで通りが通用しない現状で、本当に必要なことは何かを見極め、どんどん見直しながら学校経営を進める毎日です。その中から、いくつか紹介します。
再開後の授業づくりと学級づくりへの工夫
この数年間本校は、「集中させる」「しっかり教える」「つなげて考えさせる」の3つを大切にして日常の授業の改善に取り組んできました。休校期間中の授業の遅れを取り戻すために授業をどんどん進めることはもちろん重要ですが、授業を進めることばかりに気を取られると、これまで大切にしてきた3つをついつい忘れてしまいがちです。また、「つなげて考える場面」では生徒相互の活動が不可欠ですが、この状況では十分にその活動を取り入れることができず、つらいところです。
さらに、学習を進める上で基盤となる学級での生徒同士の人間関係づくりや教師と生徒の人間関係づくりはもっと重要なことです。例年であれば、この時期は1学期のまとめの段階である程度学級づくりが進んだ状態です。季節感からついつい例年のような進め方をしがちですが、授業が再開してまだ1カ月程度で、例年であればGWごろのやっと学級の状況が固まってきた程度の段階です。しかも、不安感が例年以上に高く、加えてマスクをしていることから表情がよくわからずにお互いの気持ちが伝わりにくい状況です。
声かけをいつも以上にしたり、生徒同士の関わりを意図的に増やすワークをちょっと取り入れたりして、まずはスモールステップで基盤づくりに注力しています。
感染対策の中での教職員間の情報共有
部活動を実施していなかった期間は、生徒下校後に打ち合わせを毎日実施し、生徒たちの状況を共有してきました。この点に関しては、例年の年度初めに比べて十分に共有ができました。完全に諸活動が再開となった現在、昨年度まで週に数回実施していた朝の打ち合わせは行っていません。
現時点で優先されるのは、感染対策です。そのために登校開始時刻を遅らせ、担任以外が昇降口で手指消毒と体温確認を確実に行い、各教室では担任が生徒を迎え、健康観察を確実に行うように変更しました。このため、全体での打ち合わせや情報共有は月に1回程度のみの実施となり、通常は校務支援システムの掲示板や自宅勤務の際に活用したSlackによる情報共有となっています。なお、今年度は時間割の中に学年会の時間を設定し、毎週確実に情報交換ができるようにしています。