ESDの地域創生力と自然学校 持続可能な地域をつくる人を育てる
20面記事阿部 治・増田 直広 編
コロナ禍の今こそ役割に期待
ESD(持続可能な開発のための教育)が、今ほど期待されている時代は少なくとも過去にはなかった。本書はこのESDの考え方をさらに広げ深め、地域創生まで視野に入れた論を展開している。
編著者の阿部氏は、地域創生を「住民一人ひとりが地域の多様な資源とかかわり、地域との関係性を主体的に深めていくことで創りあげる、環境・経済・社会・文化のトータルな視点で持続可能かつ災害からの回復力(レジリエンス)が高い地域社会づくり」と定義する。
今回のコロナウイルスの拡大で、これまで展開されてきた都市部への一極集中の在り方が問われている。このためには地域創生の視点で、地域の魅力を学習者に体感させる必要がある。いやそこに住んでいる住民こそ、故郷意識を高め、自信を持たなければならないのかもしれない。
本書第2部のタイトルが「自然学校が取り組む多様な地域創生」である。各論では8本の事例が報告されている。8本の各論は、まさに故郷意識の高い、自信に裏付けされた報告である。
阿部氏は本書の最後の座談会の中で、「地域創生拠点として自然学校が機能する」とも語る。もっともっと自然学校の活動が活発になり、地方に光が当たることを祈りたい。
(2200円 ナカニシヤ出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)