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子どもが変わるドラマのセリフ もっと話がうまくなる

20面記事

書評

丹野 清彦 著
名ゼリフの生かし方、具体例で紹介

 教師にとって話す技術は欠くことのできない資質の一つであろう。面白くもない話を聞かさせる子どもたちの立場になれば、しかも、それを「よく聞きましょう!」などと念を押されればストレスもたまるというものである。本書はその状況を解消させる提言集だが、一味違うところがある。それが、「ドラマや映画の名ゼリフ」を利用するという点だ。
 著者も初めは失敗続きだったそうだ。相手に言葉が届くために、うまく話せるためにと、あれこれ考えた揚げ句、前述の結論に至ったのだという。本書に具体例が示されている。
 構成は、子どもが変わる話し方、子どもに話させる話術、自己肯定感を高める話し方と題された3章仕立て、それぞれ七つの実際の事例を挙げている。いずれの事例にも、話のポイントとスピーチモデルが示されているので応用も可能だ。
 それにしても、目の付けどころが面白い。いずれの事例も「なるほど、ホントにぴったりだ」と、うなずいてしまう。保護者の苦情対応や同僚とのやりとりも事例に含まれている。
 ただし、本書を「名ゼリフを生かしたユニークな指導例集」と安直に受け止めてはならないだろう。日頃から課題意識を持ち続けていたからできたことなのだ。この姿勢こそ学ぶべきことであり、著者が訴えたいことであるように思われる。
(1650円 高文研)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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