ドローンなど活用し地域の映像教材を作成(動画あり)
7面記事森田・石川県津幡町立井上小学校教頭
ドローンなどの機器を使い、映像教材(社会科・理科)を作成した石川県津幡町立井上小学校の森田誠教頭。映像教材は町教委のサーバーにある「映像資料データベース」の中に集約し、町内全校(小学校9校、中学校2校)で共有している。新型コロナウイルス感染症防止のため、現在は社会科見学などの校外学習が行いづらい時期。動画教材を活用することで、紙だけでは理解しづらい内容などがよく分かるという。森田教頭は「実感を伴う理解で確かな学力につながれば」と期待を寄せている。
校外学習しづらい中
実感伴う社会科・理科に
町内全校で共有 教委のデータベースに集約
ドローンなどの機器を活用し、作成した映像教材は約60本ある。主に社会科や理科で使用することを想定し、子どもたちにとってイメージしづらく、実感しにくい内容を中心に扱っている。
例えば、「広瀬五郎作 笠谷トンネル」(4年社会科「郷土の発展につくす」)では、「笠谷トンネル」のすぐ近くに新しく作られた「現在の笠野トンネル」(車載カメラ)や「トンネル上空」「山道のルート」(ドローン映像)などを組み合わせて作成。この他にも、「旧北陸道・倶利伽羅古戦場(竹橋~石坂)」(6年社会科)や「流れる水のはたらき(津幡川)」(5年理科)などがある。
これらは、教師にとって教材研究がしづらく、教えることが難しい内容だという。市・町が作成した資料集の説明だけでは、場所や位置、周囲の状況などを児童が理解するには難しさがある。そのため、ドローン映像や車載カメラ映像、静止画やテロップなどを組み合わせ、子どものイメージや理解の手助けとなるものを目指したという。
映像教材を作成しようと思ったきっかけは、ニュースで自動車学校のドローンスクール開校を知ったこと。長年、社会科研究に力を入れて取り組んできた森田教頭は、ドローンに対して教材作りの可能性を感じ、その翌月にはドローンスクールに入校して操縦技能や安全運航管理の資格を取得した。
3カ月後、国交省大阪航空局からドローンなどの無人航空機の飛行に係る許可・承認を得た。休日の早朝など、人が少ない時間帯を使って映像撮影に臨んだという。
この映像教材は、津幡町やかほく市の小学校で活用されている。授業で使用した教員からは「映像がきれいで細部まで見ることができる」「コロナ感染症対応のため、校外学習を実施しづらいこの時期に、その代わりとして利用できる」などの声が上がっているという。
日々多忙の中、一教員がこうした独自教材を作成することには大きな負担がかかる。そのため、「他の市・町にも、教材・資料を共有できるような仕組みが広がれば」と語る森田教頭。「教員間の情報共有が進み、働き方改革につながれば」とも話している。今後も学習効果の上がるような素材探しを進めていくという。
問い合わせ(井上小)=Tel076・288・8261(森田教頭)