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国語教育叢書 教師も愉しむ作文生活

16面記事

書評

白石 壽文・権藤 順子 編著
佐賀発、豊かな言語活動の実践

 子どもたちから「書くことが苦手」という声がよく聞かれたが、それは決して子どもたちばかりではないだろう。大人も文書作成に携わるとき、悩ましい思いをしてきた。それ故「教師も愉しむ」という書名にひかれた。
 「作文」という表記は、平成10年告示の学習指導要領から見られなくなった。しかし、文章を書く学習は今後も決してなくなりはしない。本書は、現在の学習指導要領に対応しており、現場の教員には大変参考となる。著者が所属する佐賀県作文教育研究会は、話す、聞く、読むといった言語活動を重視した上での作文であり、とりわけ、読書活動を重視。教育現場で目指していくべき国語教育が示されている。
 第一章1「愉しむ作文生活に備える訓練」。訓練と聞くと、堅苦しさを覚えるが、ここでは、日々の言語生活を豊かにするために継続して指導したい大切なことが具体的に紹介されており、必読である。
 第二章は、本研究会で活躍する教師の実践を紹介。各学年の教科書教材との関連を図った単元展開例や児童作品例、教師のモデル文も掲載。実践されてきたからこそのメッセージが伝わってくる。
 本書の他、長年にわたる研究活動に裏打ちされた教育書は、既に5冊刊行されているので併せて拝読したい。研究会員の飽くなき探究心、そして熱い研究姿勢に刺激を受ける教育書である。
(2200円 銀の鈴社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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