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修学旅行の灯を消してはいけない

14面記事

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岩瀬 正司 (公財)全国修学旅行研究協会理事長・元全日本中学校長会会長

 授業再開となった学校では、感染拡大防止のため教育活動は大幅な制限を受け、1学期の修学旅行はどこもほぼ不可能な事態になっている。自治体によっては、年内の宿泊行事中止も打ち出しており、「修学旅行を知らないコロナ世代」が誕生する危惧さえある。
 他国に類例のない、日本独特の、そしてほぼすべての日本人が共通体験し、旅の原風景でもある修学旅行。この修学旅行の灯を消してはならない。そのためには、修学旅行実施に際しては、感染症防止のためのさまざまなガイドラインを徹底的に順守する必要がある。
 しかし、マスク着用、うがい・手洗い励行、3密回避、対人距離、無言の行動…。非日常の世界に遊ぶことが旅の醍醐味であったはずが、あたかも修行僧のごとき禁欲的生活になってしまうが、これも後日には一種の青春の一場面になろうというもの。すべて前向きに考えることもコロナ禍を乗り切る知恵になる。
 現在の修学旅行は、過去の多方面への集団での見学型から焦点化した訪問場所・事物・内容への少人数での体験型へと大きく変化している。そこへ、主体的で対話的な深い学びや、キャリア教育やSDGsの視点からの探求学習の具現化も求められている。
 修学旅行は、関連各教科の学習であり、主題設定・解決の総合的な学習であり、もちろん特別活動の旅行的行事である。そして、修学旅行で「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「学んだことをどのように生かすか」という修学旅行の構造化も重要である。
 非常に制限された旅行ではあるが、教室では得られない数々の学びを加味することによって、「学びの集大成」としての修学旅行をぜひ具現化していってほしいものだ。

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