梶川　高彦・中村　健一　編著
休職・退職に追い込まず命守るために

　この本は、「崩壊学級を立て直す本」ではない。「崩壊学級担任の救出」が目的の本である。また、崩壊学級の担任を“つぶしてしまう”ことにも話は及ぶ。そうしたこともあって、書名が長くなってしまった本なのだ。２人の編著者は、現職の教師。執筆の６人の教師も崩壊学級の担任であった人か。孤立無援になりがちな崩壊学級の教師や、それを救いたいと願っている人に、ぜひ読んでもらいたい貴重な本である。
　本書は四章構成、(1)「崩壊学級担任を救う８の発想法」でスタートする。(2)は「崩壊学級担任を救う１４の方法」だ。(3)は、「崩壊学級担任がしてもらってうれしかった１１の方法」である。救いの手をどう差し伸べるか、スクール・リーダーに読んでほしい。そして(4)が、「崩壊学級担任をつぶす１３の方法」だ。ここに書かれていることなど、してはならないことと承知しよう。
　全四章を通して、実践的な内容、分かりやすい一冊だ。
　教師の現実は忙しい、だからといって“活字離れ”をしてはなるまい。本書の二章と四章を読むだけでも、当事者のつらさや悩みはよく分かる。

　(ア)　崩壊学級担任をできれば休職に追い込まない
　(イ)　崩壊学級担任を辞めさせない。

　絶対に死なせないための方策を誰もが知っておこうではないか。
（１７６０円　黎明書房）
（飯田　稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授）