低学年・中学年・高学年編
赤坂　真二ほか　著
写真や対話例を駆使、端的に解説

　大学における教員免許取得授業において、学習指導案を書き実践を試みる授業は多く見られる。一方、学級経営に着目し学級経営案を作成する授業はほとんど見られない。授業と学級経営が子どもの成長を支援する両輪であるにもかかわらず。それは学問知を基とする教科授業に比べ、日々教室内で生起する事象を扱う学級経営の学修は、講義としての困難さを意味するものでもある。従って若い先生は学級経営においてほぼ丸腰で学校現場に突入する現状である。だからこそ、学級経営OJTの重要性が高まる。
　本書は、小学校低・中・高学年の学級経営の達人が、まさに教室内で起こっている「困った場面」Ｑを選出し、必要な知識や技術・アイデアをＡ「成功のポイント」「これで突破」として紹介している。学級開きから学級じまいまで３６５日を通し、担任の誰しもが一度は思い悩みつつ、うまく解決に至っていない悩みを端的に解説するという構成である。お薦めの書籍やホームセンターで購買できる教室環境のアイデアなど情報満載で、実際の活動や実物の写真、図表・対話の事例を駆使してイメージ化しやすい。
　若い先生にとどまらず、経験と勘で何とかやり過ごしてきたミドル・ベテランの先生方もコロナ禍の昨今、暗黙知を言語化した本書を通して、じっくり自分の学級経営力を補完するのもいいかもしれない。
（各２０９０円　明治図書出版）
（青木　一・信州大学学術研究院准教授）