「学びに向かう力」を育む授業事例集
15面記事新しい時代に必要となる資質・能力の育成V
横浜国立大学教育学部附属横浜中学校 編著
指導と評価の一体化、見取りの工夫も
Society5・0、ダイバーシティやインクルージョンなどが進行する「新しい時代に必要となる資質・能力の育成」を主題に実践的研究5年目の取り組みをまとめ、世に問うた本である。
これまでの研究から、知識、技能、思考力の育成は高められたものの、生徒自身が学びの成果を「成長」と捉えられないことを課題として意識し、「学びに向かう力、人間性等」をどう育むかに重点を置いたものである。
第1部に基本的考え方を、第2部に各教科の実践を紹介する。
「基本的な考え方」には講座形式で課題を研究する同校独自の総合的な学習の時間(TOFY)や、道徳教育の試みにも触れている。
教科実践では「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善とともに、「主体的に学習に取り組む態度」を育成するための指導と評価の一体を目指した工夫や、見取る工夫なども位置付けながら、実践例を掲載した。
中学校の教育現場の読者には各教科の「主体的・対話的で深い学び」を実現する手だてを学ぶことができよう。
校長、教頭などの管理職、教育委員会の指導主事などにも活用されてしかるべきと考えられる他、多くの教職員の研修、研鑽に資すると大いに期待する。
(1980円 学事出版)
(関根 正明・元山形大学講師)