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逃避型ネット依存の社会心理

19面記事

書評

大野 志郎 著
のめり込む要因、大規模調査で検証

 今の20歳前後の若者は、小学生の頃からインターネットに接続したゲーム機で友達と遊んでいた世代である。彼らの中には、中学生の頃に、自分専用のスマートフォンを既に持っていた人も少なくない。
 そうした若者に限らず、現代の日本社会において、生活の中での情報収集や他者とのコミュニケーション、ショッピングなど、インターネットは必要欠くべからざるものになっている。インターネットとどのように付き合っていくかは、私たち一人一人にとって極めて重要な意味を持っている。
 中には、日常生活に支障が出るぐらいにインターネットを過度に利用する人たちが存在し、社会的に問題となっている。本書は、そのような人たちに共通する特性について、理論的検討と中学生・高校生、社会人を対象とした質問紙調査や面接調査の結果に基づいて明らかにしたものである。
 社会的なストレスに起因する心理社会的な問題を忘れようとして、オンラインゲームやSNSでの交流、ネット閲覧を長時間にわたって没頭してしまう。そのような逃避的なネット使用がネット依存を引き起こし、種々の実害へと結び付く。本書は、そのメカニズムを実証的に明らかにすると同時に、逃避的なネット使用に陥る前のサポートが、ネット依存の防止策として有用なことを示している。
(3850円 勁草書房)
(都筑 学・中央大学教授)

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