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壊されゆく子どもたち 夜回り先生の青少年問題論

20面記事

書評

水谷 修 著
まず大人が変わらなければと説く

 壊れゆくではなく、「壊されゆく」子どもたちのタイトルに合点した。すなわち加害者により被害者として子どもたちが存在している明確な断定である。こうして言い切れる著者の思いの強さというか「あふれるほどの憤り」が伝わってくる。
 大切な仲間をいじめたいか。学校に背を向け、不登校やひきこもりになりたいか。好んで夜の世界に入りたいか。ドラッグに手を出すか。心を病み、リストカットやOD(薬の過剰摂取)を繰り返すか。死を選ぶか。など、子どもたちや若者たちは、自分に襲い掛かるさまざまな問題に、精いっぱい反応しているだけなのだ。子どもたちを変えたいなら、まずは私たち大人が変わらなくてはならない。と結論している。
 構成は五章立てになっている。できれば第三章「青少年問題の現状」から読んでほしい。これほど差し込まれる内容はかつてなかった。さまざまな光景が浮かび、正直苦しくなった。涙もあふれた。「そうだったんだ」と、今さら気付かせてもらった。
 生徒指導を担当したり、いじめや不登校などに直面している教員はもちろん、教委の担当、さらに児童相談所職員、そしてそうした傾向に不安を感じる全ての人は、バイブルにされると合点するからこそ気持ちが救われるし、確実に楽になる。これは、にわか教育評論家ではとても書けない実践家による命懸けの実践記と評したい。
(1760円 日本評論社)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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