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「いじめ防止対策」と子どもの権利 いのちをまもる学校づくりをあきらめない

12面記事

書評

鈴木 庸裕・住友 剛・桝屋 二郎 編著
重大事態調査の在り方、解決策を提案

 2011(平成23)年の大津市での男子中学生自殺事件を契機に、誕生したいじめ防止対策推進法。この間、いじめの重大事態を巡り、教育委員会主導の調査委員会報告書に対する被害者遺族からの異議申し立てが少なからずあり、首長部局が設置した調査委員会が調査し直す事案が発生している。
 いじめと自死に関係性が認められないなどの結果報告のみならず、委員の人選、会議の進め方などについて不信感があるためだ。
 本書は、いじめの重大事態の調査委員会の在り方がどうあればいいかをテーマの一つとしている。子どもの権利擁護の観点からのアプローチとともに、被害者遺族自身が調査をどう感じ、何が不足し、何が必要かといった視点からもつづられる。また、調査委員会の活動の課題や役割も明示し、委員として参加した福祉職の観点での提案も加える。
 同時に、いじめ問題をどう解決していくべきかについても取り上げた。精神医学の立場や、スクールソーシャルワーカー、養護教諭の目を通した提言がある。
 多職種が関わる学校運営の中で、関わる人や組織の連携をどう図るか。校内体制が整いつつある学校で、被害者、加害者にかかわらず、全ての子どもたちの権利と、安心・安全を担保しながら、より充実したいじめ防止対策に踏み込むために一読してみたい。
(1870円 かもがわ出版)
(矢)

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