<特別企画 コロナ問題>全教科でオンライン授業 ビデオ会議の機能を活用
7面記事東北学院中学校・高校
東北学院中学校・高校(阿部恒幸校長、仙台市)では、臨時休業期間中、生徒たちの学力を補う取り組みの一つとして「オンライン授業」を行っている。県内では同校が早い段階から取り組んでいることで知られ、現在は臨時に作成した「オンライン授業の時間割」に基づいて実施している。
新年度を迎え、4月9日に中・高の入学式を実施した同校。新型コロナウイルス感染防止のため、通常は礼拝堂で行っていたが、窓を開けることで換気を十分に行える各クラスの教室を会場に充てた。所要時間は約30分。校長あいさつは短縮するなど、全項目を簡略化し、映像放送に切り替えて行った。「3密」を避ける上で、事前にホームページなどを通して保護者は式に参加できないことを通知していた。
翌日10日は、3月から学校に登校していなかった在校生の登校日に充てた。昇降口でアルコール消毒と手洗いなどを徹底し、始業式もできるだけ簡略化を図った。各教室で担任との顔合わせを行った後、次の日から自宅で取り組む副教材を渡し、生徒たちを下校させた。教職員のマスク着用も徹底した。
本年度は4月15日から通常の学校業務を再開させる予定だったが、新型コロナウイルスの感染は全国的にも広がり続けていた。そのため、5月7日まで休業措置を延長し、各家庭に「オンライン授業」の実施や生徒の過ごし方に関する注意事項、学校関係者に新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者が出た場合の対応などについて、学校のホームページや緊急メール配信などを通して連絡した。
休業期間中、教職員はローテーションを組み、「オンライン授業」を担当する日以外は在宅テレワークを推奨している。「オンライン授業」は、総合進学コース、特別進学コースなど、コースごとに一つの授業を配信。教師1人に対し、100人ほどの生徒を相手にすることもある。
通常授業は、目の前の生徒たちの反応を見て進めていく場合が多い。そのため、「画面上の様子だけでは理解度を把握しづらい部分もある」という帆足直治教頭(高校)。教師の満足度だけで進めないよう、「ネットを通して集約した振り返りを次時の授業などに生かすようにしている」とも話す。
中・高とも、約5年前から全校生徒が「1人1台のパソコン」を所持する学習環境を整備。費用は保護者の負担だが、これまでの学びの充実に加え、今回の「オンライン授業」への移行を早期に実現することにつながった。また、教師もPCの使い方に慣れていたことも功を奏した。休業期間中の学力補填の取り組みとして、保護者からもおおむね好評だという。
「オンライン授業」では、オンラインビデオ会議(無料)の機能を活用。体育や家庭科などの実技教科を含む全ての教科で実施している。研修を行い、授業づくりに関してはあまり問題がなかったという。教師にとって改めて授業を練り直す機会にもなり、指導力の向上につながっている。
これまで課題として浮かび上がってきたのは、生徒たちの家庭によってネット環境が異なること。それが一律にはなっていないため、通信が急に途切れたりする部分は課題だった。
5月7日以降も学校の休業が続く場合、引き続き「オンライン授業」を行う予定だ。現在、入学したばかりでPCを所持していない中1、高1の生徒たちは課題プリントのみで対応しているが、早い段階で「オンライン授業」に切り替えたいとしている。授業時数に加え、生徒たちの健康面の把握や保護者を交えた3者面談などを含め、今後はさらに検討・推進していく必要性があるという。