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オンライン学習、足りぬPC 都内の児童養護施設

2面記事

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NPO調べ

 新型コロナウイルスの感染拡大により学校の臨時休業が続く中、都内の児童養護施設ではパソコンが不足し、オンライン学習への対応に苦慮している。特定非営利活動法人ライツオン・チルドレン(東京・渋谷区)が13日に公表したアンケート調査結果で分かった。こうした現状を受けて、同法人では各施設にパソコンを寄贈するプロジェクトを始めている。
 調査は4月9日から10日にかけて、東京都の「児童福祉施設等一覧」に掲載している児童養護施設56カ所を対象に実施。34施設から回答を得た。
 臨時休業の長期化や社会情勢の変化に関連し、子どもや退所者に及んでいる影響や心配なこととして、25施設(74%)が「ストレス、精神的負担」と回答した。さらに、17施設(50%)が「学習の遅れ、オンライン学習対応」を挙げている。
 アンケートでは、臨時休業によって学校からの連絡や宿題、塾のインターネット教材やオンライン授業にパソコンを利用しなくてはならないケースが増える一方で、「各寮1台の子ども用パソコンでは不足している」「パソコンやタブレットを学習や遊びに使ってはいるが、数が足りない」との声が上がった。
 子ども用パソコンが手に入った場合の活用方法について、「学校の課題」と答えたのは28施設(82%)に上った。加えて、「学校や塾での学習を補うためにインターネットを使った学習をさせたい」と29施設(85%)が回答している。
 ただ、子どもがインターネットを使える環境がないと答えた施設は0%で、82%の施設はあると答えている。
 アンケートを踏まえた集計によると、直ちにパソコンが必要なのは25施設で、台数は160台。同法人は来月6日まで、一般の法人や個人からの寄付を受け付けている。企業は使用済みのパソコンを寄付して支援することもできる。
 同法人では、児童養護施設で暮らす高校生について、「アルバイトができなくなっており、収入が減っている」「施設を出た後に就職・進学して自立するための資金も、十分確保できなくなる恐れがある」とも指摘している。

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