大学入試の「主体性評価」文科省が協力者会議
NEWS 文科省は17日、大学入試で多面的に評価する仕組みを検討するための協力者会議を開いた。委員から、大学での主体性の評価の現状や調査書の電子化の取り組みが報告された。
会議は、新型コロナウイルスの影響でテレビ会議システムを使って開かれた。西郡大・佐賀大学アドミッションセンター長は、受験生の活動実績を筆記試験の点数に加点して評価する制度を紹介した。佐賀大学では理工学部と農学部の一般入試で、高校時代の活動実績やアドミッションポリシーと自身の経験との関連を申請書に400字以内で書かせ、評価する仕組みを2019(令和元)年度入試から実施。合格のボーダーラインにある受験生の評価に生かしていることを説明した。
西郡氏は、申請書作成がミスマッチの解消につながるとしたものの、高校時代に「活動実績づくり」を過度に意識した仕組みとならないよう気を付ける必要があるとも指摘した。
巳波弘佳・関西学院大学教授は、学習結果だけでなく、学びの過程の評価の必要性を訴えた上で、調査書に加えてeポートフォリオの活用を求めた。そのために「受験生の論文や発表資料が必要不可欠だ」と指摘した。
一方で、評価の視点に多様性を持たせ、家庭の経済格差や地域格差が生じないようにしなければならないと求めた。報告後の話し合いでは、生徒情報の集まるeポートフォリオの運用について、安全面を懸念する声が上がり、公的機関で管理することが当然だとする意見が相次いだ。会議は次回、高校関係者からのヒアリングを実施する。