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人間力の育成 人間教育をどう進めるか

14面記事

書評

教育フォーラム65
梶田 叡一 責任編集
具体的な場での工夫を提言

 AIやグローバル化の進行にあって、何よりも大切になってくるのは人間力の育成である。人間力は、子どもたち一人一人がさまざまな課題と取り組み、体験し、気付き、反省・反芻し、次のステップに生かす努力をするという形でしか、強く豊かに、深くすることはできない。その際、優れた指導者との出会いは必須の意義を持つ。このことは、人間教育を目指す教育者たちに対し、痛切な課題を突き付けずにはおかない。
 本書では、こうした重たい課題について十数人の研究実践者が、それぞれの立場から提言し、具体の場での工夫を述べている。
 巻頭論文で梶田氏は、次のような基本的資質・能力を含む人間力が不可欠になるという。

【人としての基本的な育ち】として、
 ・強靭な主体性の確立
 ・他者への深い共感性
 ・本源的自己への立脚

【真に主体的人間として備えておくべき資質・能力】として、
 ・広く深く合理的な知性
 ・打たれ強さと対処性
 ・自己への信頼と自信
 ・天命への絶対的信頼

 中曽根内閣の時の臨時教育審議会会長を務めた岡本道雄氏(元京都大学総長・医学博士)がしばしば、「人間は、人間を浴びて人間になる」「医学は技術だけでは駄目だ。医者と患者の人間関係が全て。教育も同じだ」と話されていたことを思い出す。ますます「教育は人なり」の言葉が重みを増してくる。
(2640円 金子書房)
(規)

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