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大学のゼミから広がるキャリア

12面記事

書評

構成主義に基づく「自分探し」の学習環境デザイン
久保田 賢一 監修
山本 良太・岩崎 千晶・岸 磨貴子 編著
実践と対話重視の人づくり

 一つのゼミの活動をまとめて本にするようなことは、あまりないのではないか。それだけ関西大学総合情報学部の「久保田ゼミ」が異彩を放つということなのだろう。
 大学3年から参加できる当該ゼミは、構成主義の観点に基づいてデザインされた学習環境にある。従来の教育が正解を知っているのは常に教師で、教師の指導の下に学習が成立するものとすれば、構成主義の学習は「実践と対話を重視し、社会的実践をとおして体験から学び、対話をとおして新たな意味を生成」するものだという。
 そのため、ゼミの教師は「教えない」と宣言し、10年後の自分をイメージして、どうしたいかを自分で考えなさいと言葉掛けする。
 ゼミでの主たる活動の一つは、プロジェクト活動であり、活動をしながら必要なことも学んでいく道筋が、能動的、主体的な学習者に育てていく。
 しかも学生たちが放り込まれる舞台は、海外でのフィールドスタディや、学生たちが興味・関心から組織をつくり、国内外の他の組織などと協働しながら社会的な問題の解決に当たる場である。自ら引き受けた難題をくぐり抜けた、ゼミ修了生たちの職業が多彩であるのは、うなずける。
 学生を読者に想定した本書だが、能動的、主体的な児童・生徒、学生を育てようとする教師たちにこそ、手に取ってほしい。
(2420円 北大路書房)
(吹)

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