書く姿勢・持ち方を甘く見てはいけない
16面記事持ち方を診断して、直しませんか
橋爪 秀博 著
写真や図を多用、具体的方法示す
評者も現役時代は著者同様の考え方を持ってはいた。正しい持ち方の指導もしたが、今考えれば、それは示範しただけで終わっていた。本書を手にする読者も子どもたちの持ち方を気にはしていても、どこかあきらめにも似た境地でおられるはずだ。解決の方法がつかめなかったからだろう。
本書は、多くの現場の教員や保護者に朗報をもたらしてくれる。鉛筆の持ち方は直るのだ、見分け方も、直し方も、その上、脳科学的に見た根拠やその影響までも分かるのだ。雲間から青空がのぞいたように思えた。
まず、初めに衝撃の調査事実を紹介する。持ち方の指導をすべき小学校教員で正しい持ち方をしている者は1割に満たないという。大学生や児童も推して知るべし、である。そういった現状を承知した上で、著者は持ち方を診断し、直す方法を具体的に示してくれる。そう、文字通り具体的に、だ。
本書は120ページほどだが、使用されている写真は大小合わせ250枚を超える。すべてカラーだ。それだけではない。図や表も用い、持ち方の類型や直すポイントが言葉より目で確認できるようになっている。言葉の説明も重点は朱書きされている。「甘く見てはいけない」という著者の心からの訴えが、凝縮されたようなこの一冊、明日からの実践に早速、応用してみてはいかがだろうか。
(1760円 発行 風詠社・発売 星雲社)
(八木 雅之・元公立小学校校長)