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人的環境のユニバーサルデザイン 子どもたちが安心できる学級づくり

16面記事

書評

阿部 利彦・赤坂 真二・川上 康則・松久 眞実 著
「毒語」やめるなど教師のあり方説く

 本書によって評者はようやく「教育のユニバーサルデザイン」について、イメージを抱くことができた。このユニバーサルデザインには、授業、教室環境、人的環境の三つの構成要素があるという。本書では、人的環境に特化したユニバーサルデザインが語られる。
 本書は4人の研究者がこの人的環境について、持論を展開する。その中でも読み応えがあったのは、第2章の川上氏の「背景を知る」であった。そして「人的環境のUD」の最優先課題が「教師のあり方」であると論を展開する。
 この「教師のあり方」について、さらに八つの視点から述べる。その中でも読んでいて特に共感できたのは次の3点である。
 「よい教師は、子どもと共に笑う」「教師は『感情労働』という認識に立つ」「子どもの心に傷を残す”毒語”を使わない」。
 ”毒語”(「毒づいた言葉」造語)に関しては具体例が16例示されている。これを読むだけで、教師には反省材料になるに違いない。若い頃、”毒語”を評者も使って子どもに対応していたことが恥ずかしくなった。学校現場には毒語が多い。
 校長以下、教職員は子どもと共に笑っているか。あるいは「感情労働」であることを自覚しているか。これらの自覚があれば、体罰は激減するに違いない。この良書を薦めたい。
(1980円 東洋館出版社)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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