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10億件の学習データが教える理系が得意な子の育て方

13面記事

書評

今木 智隆 著
つまずきやすい算数単元と学習の勘所

 かつて『学力低下を克服する本』(陰山英男、小河勝著)は「割り算の筆算は4年生の最大の難所」など、学習する上でのつまずきやすい点を的確に指摘した。優秀な教員の経験が共有できれば、教科指導の強い味方になるのでは、と当時、感じたものだ。
 本書は、タブレットを利用した小学生の算数の教材を提供する中で、蓄積したデータを基に分析し、効果的な算数の学習法を示したものだ。
 つまずきやすい単元・問題として「2~3桁の位の理解」「図形の組み立て・立体の基礎」「単位、目盛りの読み方」「文章題」「円と半径・直径の理解」を挙げ、それぞれの学習の勘所を解説していく。
 算数は積み上げの教科といわれるが、本書は、学年での積み上げよりも、単元ごとのつながりを重視する。どこかでつまずいたならば、単元のつながりで必要な学習内容までさかのぼるため、時には1学年ではなく、2学年下まで戻って基礎から理解していくことが必要だという。
 算数を学ぶことは論理的な思考力を鍛える。理系が得意になればIT、AIが不可欠な時代に職業選択の幅が広がることや、お稽古事を選ぶのにも、女の子だからと考えず、保護者が意識を高めれば性差も大きな違いにならないことを説く。
 算数が苦手、あるいは伸び悩む子どもの伴走者にとっては、一読の価値がある。
(1628円 文響社)
(矢)

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