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(改訂新版)人口減少時代の家族・学校・地域・社会

16面記事

書評

生涯にわたる学びと教えの新たな可能性を求めて
馬居 政幸・角替 弘規 共編著
社会に開かれた教育課程へ向けて

 本書は、家族・学校・地域・社会の4領域から、人口減少時代を、誰もが共に生きる場に再構築する条件を問い直す契機になることを願って刊行された。人口減少時代の日本社会の現状と、その課題に至った問題の根源を考究し、現場に根差した人口減少時代を拓く方策を提示している。本書は、教員はもちろん、人口減少の現場に関わる全ての担い手にとって、問題解決へのアイデアの詰まった魅力的な書籍である。
 全10章で構成される本書は、人口減少の現在、過去、そして未来を論じている。本書には、次の三つの特色がある。第1に、人口減少に関わる全ての人間に注目していることである。第2に、人口減少の現場に必要なネットワークづくりを実証的に論じていることである。第3に、人口減少の現実から問題を直視し、問題解決の可能性を提示していることである。
 社会に開かれた教育課程の実現を目指す学習指導要領では、社会とつながり、社会で生きて働く力を活用する子どもの未来が描かれる。社会の変化を把握し、社会の全ての担い手と共に教育を議論し、未来の社会を創造することは、今後一層重要になると言える。本書の人口減少と人間形成の在り方への提案は、大いに意味のある試みである。人口減少と人間形成の在り方を、これほどまでに実証的に体系化した本書は、貴重な書籍であると評価できる。
(3300円 NSK出版)
(磯山 恭子・静岡大学教授)

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