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教育格差のかくれた背景

13面記事

書評

親のパーソナルネットワークと学歴志向
荒牧 草平 著
親族、親の知人からの影響を指摘

 現代は格差社会であるといわれる。富める者はより一層富み、貧しい者はさらに貧しくなる。1%の富裕層が、世界の富の数十%を占めているというデータもある。
 このような中で、次のような言説が世の中に広まっている。「親の学歴の高低や所有する文化的資本の多寡によって、子どもの進路や学歴が決定づけられる」
 本書は、実証的な調査結果に基づいて、そのような教育格差に関する「常識」を問い直し、新たな見方を提示していく。
 最初に明らかにしたのは、親の親族が子どもの学歴に与える影響である。親は、子どもから見た祖父母やオジオバの学歴を参照しながら、子どもへの教育期待を形成する。そうした間接的な効果が子どもの学歴に影響を及ぼすのだ。次に明らかにしたのは、親が子育てを通じて形作ってきたネットワークが、子どもの学歴に与える影響である。友人や知人などのネットワークメンバーの学歴や学歴志向への態度が、自らの子どもについての教育を考える際の参照枠となり、間接的に子どもの学歴に影響するのである。
 親の「学歴」が直接子どもに影響するのではなく、「学歴」を介して形成された人的つながりが子どもに影響を及ぼす。本書は、そのダイナミクスを解明し、教育格差の背後に隠れた本質を明らかにしたものである。
(4180円 勁草書房)
(都筑 学・中央大学教授)

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