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「競う」「高めあう」ことで世界で活躍できる人材育成めざす

9面記事

企画特集

辻村直也代表理事(左)と宮田純也事務局長

 英語の4技能向上と、思考力・判断力・表現力を伸ばす探究学習の機会を中高校生に提供するため、2018年4月に設立された一般社団法人英語4技能・探究学習推進協会(東京都世田谷区、辻村直也代表理事)。英語プレゼンテーションコンテスト「Change Maker Awards」を主催するほか、生徒や学校向けセミナーなどの事業を通して次世代のリーダーを発掘・支援する考えだ。辻村代表理事と宮田純也事務局長に話を聞いた。

その先のキャリアを描く英語分野の大会を

 協会設立の目的は中学生、高校生が良質な知的好奇心を発揮しながら、学びを自己表現できる機会を提供し、世界を変える次世代のリーダー「チェンジ・メーカー」を発掘・育成すること。趣旨に賛同した企業や団体の会員制度で運営している。
 中心となる活動は英語によるプレゼンテーションコンテスト「Change Maker Awards」の開催。英語4技能の学習と探究活動の成果発表を組み合わせた同コンテストは、従来の英語コンテストとは一線を画す。辻村代表理事はコンテスト創設の理由を、次のように語る。
 「中学生や高校生が参加する全国的な大会には、スポーツや教科などに応じた各種の大会がある。こうした大会は参加することに意義があるだけでなく、高校野球からプロ野球選手になる高校生がいるように、将来の進路や職業選択のきっかけにもなり得る。仲間と切磋琢磨し、外部からの評価を受けて自分を成長させていく、そのような全国大会を英語の分野でも作りたいと思っていた。思いを同じくする企業や団体で力を合わせ、生徒たちが高めあう場を整備・提供したい」。

英語力だけでなく内容を総合評価

 コンテストが目指すのは、日本がより豊かになるための国際交流やビジネスに資する人材育成だ。英語運用能力だけでなく、創造性や自発性、批判的思考などを伴ったアウトプットを重視する。内容が探究的であっても、結論が社会とのつながりや課題解決の道筋を示すものでなければ評価は低くなる。
 「アジアの若者を見ていると英語の正しさにとらわれず、伝えたい気持ちや内容を前面に押し出してコミュニケーションしている。英語の運用力だけでなく、聴衆の気持ちがどう揺り動かされたかという評価軸にシフトしていく機運を高めたい」と辻村氏は話す。
 コンテストを中高生の人生を切り拓くきっかけとするために2018年10月には総額2億5000万円の「英語4技能・探究学習推進基金」を創設、大会入賞者には総額850万円相当の学習支援金を提供し、海外視察や短期留学など英語4技能や探究学習をさらに深めるチャンスを提供する。
 今後はコンテストに出場を希望する全国の中高生を対象に、オンラインで英語のプレゼンテーション指導など、会員企業による各種支援を推進し、参加者のすそ野を広げたい考えだ。

【CMAハイライト】
全国から412チームが応募 英語4技能と探究学習の成果を競う


第2回本選大会

 「Change Maker Awards」の第2回本選大会は昨年9月、東京国際交流館で行われ、個人部門で渋谷教育学園幕張高校2年の今西はなさんが、団体で慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部の「ティーシーケー」が金賞を受賞した。
 同コンテストの参加資格は日本国籍を持つ中学生、高校生。昨年から個人部門と、1チーム4名までの団体部門が設定された。全国から191校、412チームの応募があり、7月の書類選考と現地選考の2回の予選を経て決定した10人、10チームが本選に出場。英語プレゼンテーション力を競った。
 個人部門のテーマは『「世界に伝えたい私のこと」―Show your Potential to the World―』、団体部門は『「私たち×○○」―Attract the World with your presentation―』で、団体部門はSDGsと関連させたテーマも選べる。制限時間は8分だ。
 個人部門の金賞に輝いた今西はなさんは、医師や栄養士の協力のもと、健康的なダイエット方法を紹介するウェブサイト「JKヘルスブック」を立ち上げた経緯や思いをプレゼン。「健康的な体があってこそ夢を追いかけられる」と主張した。
 団体部門金賞の慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部のチーム「ティーシーケー」は、異文化の中で生まれ育った人「Third Culture Kids(TCK)」をテーマに300人以上の当事者を取材。新しい文化への適応支援としてウェブサイトでの情報発信を提案した。
 応募校は北海道から九州・沖縄まで全国に広がりを見せている。宮田事務局長は「何度もチャレンジできるよう中学と高校の部門分けはしていない。よいプレゼンテーションを何度でも見て刺激を受けることで成長し、仲間と助け合って力を蓄えていってほしい」と話している。
 第3回大会の募集は3月1日より開始、協会HPにて応募を受け付ける。

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