大学入学共通テスト、再検討始まる 検討会議が15日、初会合
NEWS会合の冒頭、あいさつする萩生田文科相
大学入学共通テストで、昨年末に延期が決まった英語民間試験の活用と記述式の出題の在り方を話し合う文科省の検討会議が15日、初会合を開いた。延期の要因となった公平性の確保や地域格差などの課題への対応を中心に議論する。今後、月1~2回のペースで会議を開き、幅広い関係者の意見を聞いた上で年末にも方針をまとめる予定だ。
検討会議は、これまでの有識者会議からメンバーを一新。18人の委員のうち、教育関係団体の代表者以外では荒瀬克己・大谷大教授を除く全員が入れ替わった。座長は三島良直・東京工業大前学長が務める。
共通テストでの英語民間試験の利用を巡っては、地方や経済的に困難な受験生への対応が不十分であることに加え、目的の異なる各試験のスコアを比較することが適切ではないなどの課題が指摘されてきた。一方、記述式の出題に対しては採点者の質の確保や採点結果と自己採点の不一致率などが課題に挙がっていた。
初会合では、文科省が共通テスト導入経緯とともにこうした課題について説明した。
萩生田光一文科相は会議の冒頭、「次代を担う若者が大学入試で英語4技能を適切に評価することの重要性に変わりはない」と強調。高校の新学習指導要領で学んだ生徒にとって初めての入試となる2024(令和6)年度からの実施に向け「できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みとはどのようなものか検討をお願いしたい」と前向きな議論を求めた。
その後の委員からの発言では、貧困・格差改善の視点から入試の課題について考えるよう求める声や、テスト理論など各分野の立場の専門家から幅広く考えを聞くよう求める声が上がった。
会議後、報道陣の取材に応じた三島座長は記述式試験について個人的な見解だと断った上で「自己採点や採点者などいろいろな課題がある。個別の大学での試験に取り入れる方がいいのではないか」と述べた。