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水の学習を生かしてエネルギー・ライフラインを学ぶ

企画特集

福岡市立警固小学校
地元ガス会社と協力して授業づくり

 11月19日、福岡市立警固小学校で、社会科におけるエネルギー・ライフラインに関する授業が行われた。
 指導をしたのは4年2組の内薗亮平教諭だ。生活に不可欠なエネルギーのガス事業を取り扱うことで、エネルギーにおける社会の仕組みの一端を理解し、持続可能な社会を形成する生き方につながると考え、授業を構想。地元福岡の西部ガス株式会社(http://www.saibugas.co.jp/)の協力を受けながら授業づくりを行い、すでに学習している水を生かした発展的な学習として位置付けた。
 本時では、「学校で使われている水道やガスについて調べよう」という学習目標(めあて)のもと、まずは校内のどこで水やガスが使われているか確認した。地図を示しながら、給食室や家庭科室、理科室、保健室などで使われていることを確認し、なぜ水とガスが同じ場所で使われているかペア・全体で意見を交流した。

水の届く過程をもとに、ガスについて考えさせる

 次に、水とガスの配管を取り替えている写真を示して、その共通点について考えさせた。子どもたちからは「どちらも人が作業をしています」「何かの道具を使っています」といった意見のほかに、「漏れていないか点検しているように思います」という言葉も出た。
 すると内薗教諭が、「何のために点検しているのだろう?」と子どもたちの興味を膨らませる発問を投げ掛け、水が届くまでの「ためる」「つくる」「おくる・くばる」という過程を示した資料をもとに、ガスにも似た点があるかペアで考えさせた。
 「24時間体制になっているのではないか」「ガス管を取り替えているのではないか」「たくさんの人が関わっているのではないか」といった子どもの予想に対して、内薗教諭は西部ガスから提供を受けた写真を提示したり、ガス点検のための検知器やガス管(ポリエチレン管)の実物などを紹介したり、ガスにはにおいをつけているといった事実を示しながら、ガス会社の人々も、安全に気をつけ、安定した供給に努めていることを捉えさせた。
 最後に、天然ガスはいろいろな国から運ばれてきていることや、そのほとんどを輸入に頼っていることに触れながら、天然ガスの可採年数の資料を提示することで、エネルギーの課題を知らせ、本時をまとめた。さらに、次の時間に、自分たちは限りある資源とどうかかわっていけばよいか考えていくことを予告した。

エネルギー教育における3つのポイント

 授業後に指導・助言を行った北俊夫・元文部省教科調査官は、授業を踏まえ、

 (1) 学習形態の目的を子どもたちにも徹底させること
 (2) 学習目標(めあて)の立て方に工夫をすること
 (3) 授業を子ども自身の言葉でまとめること

 ―の3つの改善ポイントを述べ、そのうえで、「めあては入り口であり、まとめは出口。この一本の道筋をきちんとつなげることで深い学びが実現できる」と話した。

 続けて、北氏は、「エネルギー教育は、社会がわかる教育として必要である」とし、エネルギー教育を通じて、

 (1) 社会を認識する教育=飲料水・ガス・電気の現状やしくみを通じて、自分たちの生活や社会の成り立ちを学ぶ
 (2) 生き方の教育=エネルギー資源の自給率などを通じて、世界とどうつながっているかを知り、限られた資源を自分はどう使うかを考えるきっかけとなる。これが生き方教育へとつながる
 (3) キャリア教育=エネルギー供給に携わる人々の仕事を知ることで、将来のキャリアの選択肢を広げる機会となる

 ―の3つのことを子どもたちに学んでもらうことができると示した。

安全性と安定性を学びのマスターキーに

 さらに、どこの学校であっても、エネルギー教育が実現できる教材として、日本教育新聞社と一般社団法人日本ガス協会とが共同開発した「『住みよいくらし』授業支援パッケージ」の活用を提言。パッケージを活用することで、現在、多くの学校で行われているような飲料水に限定した学習ではなく、ライフライン事業者が「安全性と安定性」に配慮しながら事業を展開していることを掴み、「飲料水」を1つの事例として、「ガス」「電気」への学びを深めることができるとした。
 「この単元では、供給の安全性と安定性の2点を学習することが大切です。これらは飲料水もガスも電気も同じこと。まずは、この重要なキーワード、いわば、マスターキーを子どもたちに獲得してもらい、それをもとに応用的な学習をすればいいのです」と解説した。

 ・「住みよいくらし」授業支援パッケージ
 https://www.kyoiku-gas.com

 ・「自然災害からくらしを守る」授業支援パッケージ
 https://www.lifeline-kyoiku.com

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