大学教授ら大学入試センター試験の継続求め緊急声明
NEWS 大学教授らでつくる「入試改革を考える会」(代表=大内裕和・中京大教授)は15日、大学入学共通テストで新たに加わる記述式問題には課題が多いことなどを根拠に、「大学入学共通テストの2020年度からの実施延期と大学入試センター試験の継続を求める緊急声明」を出し、文科省に提出した。
また、参議院会館で集会を開き、与野党議員とともに記述式問題や新テストの課題を議論した。
国語の記述式問題に関して日本文学を専門とする日本大学の紅野謙介教授は「問題の本質をまるで理解してない人たちが作ったとしか思えない」と批判。全国約58万人と推定される受験生全員分の記述回答を正確に採点することは不可能に近いとし、「記述の回答は生徒の数だけ存在する。回答のバリエーションは用意されているのか」と懸念を示した。
予備校講師の吉田弘幸さんは「数学の記述式問題は答えを出すまでの過程を見なければいけないのに、最後の回答しか記述する部分がない。形式だけの記述問題に果たして意味はあるのか」と訴えた。国語と同様、数学でも記述式問題は配点に含めない措置をとるよう主張した。
東大の中村高康教授は新傾向の問題について言及。「数学や物理では問題を解くまでの設問の文量が極端に多い。自然の摂理では考えられない条件が出題されるなど見直しが必要だ」と指摘した。調査書重視で教職員の負担が増えることについても懸念を示した。
会合の参加者からは、共通テストの採点を担当する学力評価研究機構が今月上旬に発表した採点準備の状況についても不安が残ると指摘があった。
共通テストの記述式問題を巡っては立憲民主党など4党が14日、導入を中止する法案を衆議院に提出している。